あなたとあなたの希望をつなげる【コネクトケア町田】

「『足がうまく動かないから、遠出はできないよ』と初めは諦めをにじませていたご利用者さんが、私たちが訪問介護に行くようになり、少しずつ気持ちが前向きになっていき、『ちょっと外でも散歩してみようかな』と誘ってくれた時、たまらなく嬉しかったです」

「デイサービスやグループホームもやりがいがありましたが、訪問介護がダントツに好きです」

「コネクトケア町田」管理者の柴さんは、そう自信を持って、訪問介護の魅力を語ります。自宅で暮らすご利用者さんのお宅を訪問し、掃除や食事作り、買い物、入浴などの介助を行う訪問介護。それは日常の困りごとを支援することで、ご利用者さんとご利用者さんの希望をつなげる仕事でもあるのです。

株式会社コネクトケア・アンド・パートナーズが運営するコネクトケア町田は、小田急線町田駅から徒歩10分ほど、美舟寿司の2階に事務所があります。

コネクトケア町田では、高齢のご利用者さんを介護する訪問介護と、障害のあるご利用者さんを介護する居宅介護の両方を行っています。訪問介護や居宅介護には、掃除や洗濯、食事作りなどの家事援助と、入浴や排せつなどのご利用者さんの体に触れる身体介護の大きく分けて2つがあります。

また、他にも重度の障害がある方が利用する重度訪問介護や視覚障害のある方の外出を支援する同行援護などの移動支援（ガイドヘルプ）も行っています。

「ご利用者さんと話す時間が、働いていて楽しい瞬間です」

スタッフの鳥丸さんは、訪問介護で働く楽しさを語ります。

鳥丸さんは湘南ケアカレッジの初任者研修の卒業生。コネクトケアに勤める以前は、病院で勤務していました。しかし所属していた救命救急の病棟では、意識がない患者さんも多く、患者さんの状態が良くなればすぐに病棟を移動してしまうため、患者さんと会話をする機会はあまり多くなかったと振り返ります。

「今日は、鳥丸さんが来てくれる日だな」

「おじいちゃん、今日はちゃんと名前を憶えていられるかしら」

「大丈夫だ」

鳥丸さんよりも一足先にお宅に招き入れてもらった私は、真っ白な頭髪のご利用者さんが、奥様と玄関を気にしながら会話をしているのを、微笑ましく見ていました。

日当たりの良いご利用者さんの部屋には、ベッドの傍らにある机の上から天井近くまで、壁が見えないほどたくさん、お孫さまの幼いころの写真が飾られていました。そのお孫さまたちも大きくなり、今はちょうど鳥丸さんと同じぐらいの年齢になっているのだそう。

しばらくして、玄関のチャイムが鳴り、入ってきた鳥丸さんが、

「よろしくお願いします」と挨拶をすると、待ってましたとばかりに嬉しそうに歯を見せて、「はいよ」とご利用者さんが返していました。

そこへクイズを出すように奥様が、

「この方は誰？」と尋ねると、二人の視線を一身に浴びて、ご利用者さんは恥ずかしそうに

「鳥丸さん」と答えていました。

その答えを聞いて、「今日は大丈夫でしたね」と鳥丸さんが笑うと、

「この前は『くにまる』だったからな。『まる』は忘れないんだけどな」とご利用者さんも笑います。

丁寧な手つきで、ご利用者さんの背中を白い湯気のあがるタオルで拭いている鳥丸さんの仕事ぶりからは、初任者研修で見ていた彼よりもひと回り成長した、一人前の介護士としての顔が見えました。

「介護職は現場で学ぶことばかりです」との声を他の卒業生からよく聞きますが、本当にその通りだと思います。いくら教室で練習を積んだとしても、やはり実際のご利用者さんを前にすると緊張しますし、介助が思ったようにいかないこともあります。

初任者研修で介護技術の基礎を学び現場へ踏みだしていった彼は、実際のご利用者さんの肌に触れ、言葉を交わし、介助することで、技術が磨かれ、介護士として成長させてもらっているのです。

サービス提供責任者の砂澤さんも、湘南ケアカレッジの卒業生。知的障害のある方が通う生活介護で5年半ほど勤めた彼女は、新しいことへの挑戦として、知り合いの紹介でコネクトケア町田に転職しました。

障害者支援の仕事から、高齢者も含む介護の仕事へ。そして複数の職員で支援する体制から、1対１の訪問という仕事への転換には、彼女自身あまり不安は感じなかったと言います。

「知的障害のある方の支援の仕事では、まずは相手の言いたいことを理解しようと思いながら関わってきました。高齢者の方と関わる時には、敬う気持ちが第一だと思っています。とはいえ、基本的には同じだと思います」

「訪問介護の仕事は、サービスとサービスの間に移動の時間があるのでそれが息抜きになります。複数の人と働く仕事も良かったけれど、基本的には一人で行う訪問介護も、自分に合っているなと気づきました。訪問介護の仕事を始めて、道を覚えるのが得意だったり、集中してトイレ掃除をして達成感を得たり、知らずにいた自分の力が発揮されていくようでした」

一見おとなしそうに見える彼女ですが、ご利用者さんから「よく気が付いてくれる」と評判がとても良いのだと柴さんは太鼓判を押します。入社後すぐにサービス提供責任者に抜擢されたり、素質を見込んで仕事を任せてもらえることが、さらなる成長にもつながっているのでしょう。

与えられた役割や仕事、期待に応えようと頑張り、それがこれまでの自分とは違った力を見つけるきっかけになったり、ご利用者さんの痒いところに目が届く気遣いなどの彼女の良さがさらに磨かれてゆき、喜ばれるようになるのも働くことの面白さであると思います。

「訪問介護はやはり自由があるのがいいです。しかし同時に、スキルが高くないとできない仕事でもあります。訪問介護に求められるスキルとは、介護技術はもちろん、さまざまな状況を臨機応変に対応していく判断力、そして信頼を得られる人間性だと思います」と柴さんは話します。

ご利用者さんのお宅に伺う訪問介護では、施設のようにすべてのお宅に同じ設備や道具も揃っていませんし、部屋の広さや椅子の高さなど一軒一軒のお宅によって介護環境が異なります。そうなると、ベッドから椅子への移動介助ひとつをとっても、ご利用者さんへのアプローチの方法が違うのです。

訪問介護では、サービス計画書の基本に沿いながらも、場面ごとに自分で判断し実践していく余白があり、それが介護する上での自由な選択にもなるのです。

「私は以前、グループホームで勤めていました。正直な話、そこで勤めるまでは、どこか介護を甘く考えていた部分がありました。そんな私を見透かしてか、その施設では認知症介護を基本から叩き込まれました。そして、最後には自分の代わりとなる管理者を育成する経験までさせてもらい、感謝しています。だからこそ、スタッフにもきちんとした介護を身に付けてもらいたいと思っています」

訪問介護の仕事は、基本的には1対1で介護が行われてゆくため、施設などで複数のスタッフと共に働くのと比べて、他のスタッフの働きや介助を見る機会が乏しくなりがちです。

また、同じご利用者さんへの介助であっても、Aスタッフはうまく介助できるけれど、Bスタッフの場合は手こずってしまうという時には、どうしたらうまく介助できるかをスタッフ同士で共有し、全員ができるようになっているとご利用者さんも安心です。

そのように、スタッフを技術面でもサポートするため、コネクトケアでは訪問介護事業所の事務所ではあまり見かけない介護ベッドや車いすなど、ご利用者さんを介助する際の道具一式が整備してあります。

きちんとした介護を身に付けることは、それだけ介護技術の引き出しが増えることでもあり、より良い介護を導き出す際の選択肢の自由にもなります。スキルを高めることで、その自由がご利用者さんへ還元されていくのです。

コネクトケア・アンド・パートナーズという社名には、「あなたとあなたの希望をつなげる」という想いが込められています。

ご利用者さんはいわば、自分の力で実現してきた小さな希望や身の回りのことなどが、身体が思うように動かなかったり、病気を患ったことで気落ちしたりして、できなくなり、抱いた希望とは離れてしまった状態になっているのかもしれません。

そこに訪問介護という形で関わり、できることを取り戻したり、ご利用者さんの希望をぐっと近づけ、ご利用者さんと本人の希望がつながるのが「あなたとあなたの希望をつなげる」ということなのです。

「人間って、少しできることが増えると『次はこうしたい』って欲が出てくるでしょう。その欲が大事だと思います」と柴さんは語ります。

目の前にある本人の小さな希望とご利用者さんがつながっていくことで、その希望がどんどん大きく育ってゆき、それが生きる楽しみにもなっていく。そしてあなたとあなたの希望をつなげる訪問介護の日々には、ご利用者さんのみならず介護士もできることを増やし、成長していける喜びが詰まっているのです。

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