介護・福祉の仕事といえば、夜勤が不安材料に挙がることがあります。その仕組みと実際の仕事内容を知れば、案外自分に合っていると考える人も実はいて、私もその一人です。自分や家族との生活スタイルが合い、睡眠時間などの自分の身体のリズムも崩れなければ、それで良いのでしょうか。
夜勤には、大きく分けて2つの勤務時間パターンがあります。1回の勤務で16時間働くパターンの夜勤と8時間働くパターンの夜勤です。
従来型特別養護老人ホーム(以下、従来型特養)では16時間夜勤が多く採用され、ユニット型特別養護老人ホーム(以下、ユニット型特養)では8時間夜勤が多く導入されています。
グループホームや有料老人ホームなどは、私の知っている限りは16時間夜勤の方が多い気がします。
働く時間について
まずは働く時間と休みについて比べてみると、16時間夜勤と8時間夜勤では以下のようになります。勤務スタート時間や退勤時間はあくまで例であって、施設・事業所によっても異なりますが、システムはおおよそ同じはずです。(下図参照)
16時間夜勤であれば16時半に出勤し翌9時半に退勤で、通常1回8時間の勤務を一晩で2回(2日分)働くことになります。
上記の図のように16時半に出勤する日が「夜勤入り」、9時半に退勤する日が「夜勤明け」という勤務になります。夜勤明けの翌日(3日目)も休みになるため、勤務表上は1日しか休んでいないことになるのですが、体感としては丸2日休んでいるような気がします。
体力のある方であれば、夜勤明けの2日目から遠出をして連休を満喫することも可能です。まとめて働いて、まとめて休むのが好きな人は16時間夜勤の方が合っているかもしれません。
8時間夜勤の場合、22時に出勤し、翌7時に退勤になります。ただしこちらの場合は、勤務表上は22時に出勤した日の勤務が「夜勤」となり、翌7時に退勤する日は「休日」となります。
夜勤の時間が短いため、肉体的な負担は少ないのは確かですが、翌日(3日目)は大体出勤となりますので、それほど休む間もなく出勤という感じになります。
丸1日の休日が少なく感じるため、いつも職場にいるような気持ちになりやすいのではないでしょうか。連休は必要ではないけれど、1勤務あたりの負担が少ない方が好みという方は、8時間夜勤が合っているかもしれません。
私が特養やグループホームで16時間・8時間の両パターンの勤務を経験した中で、先輩職員や同僚から聞いてきたことは、「16時間の夜勤は年齢を重ねると堪える」と「8時間の夜勤はいつも施設・事業所にいるような気持ちになる」という感想でした。
どちらが良いということではなく、どちらにもメリット・デメリットがあり、年齢やライフスタイルによって合う・合わないが生じてくるということです。
夜勤手当について
次に、夜勤手当の仕組みについて(上記図参考)。
正社員の場合、夜勤を1回勤務するごとに夜勤手当が支給されます。手当の金額はおよそ3,000円~12,000円までと、施設・事業所ごとに異なります。
16時間夜勤と8時間夜勤とで勤務時間は2倍違っても、8時間夜勤の2倍の金額の手当が16時間夜勤で、支給されているわけではありません。
その理由としては、そもそも夜勤手当は、深夜に働く割り増し分の時給を還元する意味合いが含まれているからです。
深夜割増の適応時間は22時~5時なので、16時間夜勤・8時間夜勤のどちらも深夜割増適応時間数は同じということになります。そのため、夜勤手当は単純に2倍ではなく、労力を総合的に判断し設定されているようです。
(影山)