「面白い施設があるよ」と卒業生さんに誘われて、映画「ケアニン」(http://www.care-movie.com/)のモデルにもなった、藤沢にある介護施設あおいけあに行ってきました。あおいけあが運営する小規模多機能「おたがいさん」やグループホーム「結」、デイサービス「おとなりさん」。それらの建物のとなりに、「菜根や」はあります。
1階の入り口を入ると、店主の片倉さんがオープンキッチンの中から出迎えてくれました。お店の中は2階まで吹き抜けになっており天井が高く開放的で、大きな窓からは西日に近づいてきた午後の日差しが店内を絶妙な明るさに調整しています。
ランチで定食を頼むと、深みのある器に盛りつけられたお惣菜を好きなだけ選べます。この日のメニューは、旬菜のおひたし、白滝と人参のきんぴら、ごぼうのサラダ、白菜の酢の物、ひじきの煮物。ついつい、全部味見をしてみたいと手が伸びます。
ごぼうのサラダは、ドレッシングで和える前に、ごぼうは一度煮つけて下味がついていたり、旬菜はシャキシャキとした食感を楽しみながら噛むと、優しいお出汁の味が染み出てきます。
諸橋さんと研修の時の話をしていると、ご飯とお味噌汁、焼きたてのイシガキ鯛の西京焼きがテーブルに並びました。「いただきます!」と口に運ぶと、自然と笑みがこぼれます。
「あ~美味しい。」食材の味や食感が活かされていて、ほっとする家庭の味がありました。
あおいけあの運営する、小規模多機能おたがいさん、デイサービスおとなりさんの昼食もこの菜根やで作られています。毎日こんなにおいしいごはんが食べられるなんて、羨ましい。
私が特別養護老人ホームで働いていた時は、施設のごはんを食べたいなんて思ったことはありませんでした。明らかに冷凍食品を使ったおひたしは水っぽくて、野菜の味というより繊維の方が強かったり、魚の臭みがそのまま残っている煮つけだったり。
効率やコストの管理も、家庭での調理とは違って大変なこともあるのでしょうが、介護施設の食事に対する意識はあまり高いとは言えないと思っていました。
私は、食べる事が大好きです。食べることは生きることに繋がっていると思っています。食事を目で見て、口に運んで、栄養を体中に行きわたらせるだけでなく、「美味しい」と思える瞬間があるから食べることは楽しい。
年を重ねても、食べる楽しみは変わらないはずです。「美味しい」と言える食事を食べられる施設が増えますように。
(影山)